『小湾字誌』より

 ◆ろくべえのルーツ
 ろくべえの原型は、中国や朝鮮半島から伝わったものと思われている。芋からデンプンを採取し、その後に残った芋カスを発酵させるやり方が中国や朝鮮半島のそれと同じだからだ。
 しかし、文献を調べていたとき、偶然、ある写真と記述を発見した。それは、沖縄本島中部、浦添市にある小湾という地域の歴史を記録した、『小湾字誌』という郷土史を記録した本の中にあった。

 「再現・こうして作るデンプンの採取と料理」
 (芋の)絞り粕(しぼりかす)を俵型に握って保存食のンムカシ(芋かす)を作る。バーキ(竹カゴ)に入れ軒下で発酵させ完全に乾燥させる。
                       (小湾字誌より)

 さらに、沖縄伝承料理の本にも具志頭地域の料理に関して、こんな記述がある。

 「イモカスとは、イモ澱粉をとった後の粕のことです。イモ澱粉を取り除いた後の粕を、ウムカシバーキと呼ばれるざるの中に入れ、木の葉や芭蕉の葉などをかぶせて発酵させます。その後、卵くらいの大きさに握り(地方によっては大きく握るところもあります)、日に干して乾燥させ、カマスに入れて蔵の中に保存しておきました。
                      (沖縄の伝承料理より)

 これらは、対馬で行なわれている『せんだこ』の作り方とほとんど同じである。中国からの伝来と思われていたことが、沖縄本島中南部でかつて普通に行なわれていたのだ。さらに調べてみると、本島中南部ばかりではなく、離島、沖縄各地で同じ方法によるデンプン作り、芋かすの利用が普通に行なわれていたことがわかった。やはり、せんだこというのは、ンムカシのことであったのだ。
 このことから、ろくべえの原料となる『せんだこ』は、沖縄から対馬に伝わったものである可能性が高まってきた。甘藷が沖縄から薩摩に、そして九州、日本各地へと伝わっていった事実からして、おそらく、芋カスを発酵させる技術も、沖縄から伝わっていったと考えるのが自然である。すなわち、島原や対馬のろくべえもまた、沖縄のウムクジそばが伝わっていったものではないか?
 ひょっとしたら、ろくべえを作る際に用いられる『ろくべえ突き』、もしくは『ろくべえおろし』と呼ばれる特殊な器具も、そのうち沖縄由来のものであることがわかるかもしれない。そういえば昔、どこかで見たことがあるような気がするのだ…。

※あくまでも素人の勝手な推測です。ご了承ください。

 


               対馬・ろくべえ

◆ろくべえの味
 ろくべえが通販で取り寄せられることを知って、早速取り寄せてみた。
 レポートはこちらから。
 見た目は黒っぽく、食欲をそそられるものではないが、食べてみると淡白でおいしい。大人にも子供にもかなり好評だった。


 

んむすば物語Top   前ページ  次ページ