◆芋そばへの道
 芋そばを復活させるためには、いくつかハードルを越えなければならなかった。まず芋そばのレシピの完成、そして芋そばのルーツの調査である。「芋そばがどこから来て、どこへ消えたのか」、「芋そばは沖縄そばのルーツなのか、それとも別系統のそばなのか」。それがわからなければ、芋そばを現代によみがえらせる意味が半減してしまうからだ。
 そこで、芋そばの試作品作りと平行して、芋そばの情報集めに着手した。まず知人、親戚にたずねることからはじめ、図書館通い、インターネットの検索、掲示板への書き込みなどを行なった。そして少しづつ情報が集まりだし、次第に芋そばの全体像がおぼろげながらも明らかになっていったのである。

※あくまでも素人の勝手な推測、稚拙な思いこみです。ご了承ください。

 


                        ウムクジそば

 

◆ウムクジそば
 まずは、すべてのきっかけとなった、写真のことについて触れておこう。
 沖縄の伝承料理。
 この本によると、芋そばは、『ウムクジそば』となっている。ウムクジというのは、芋くず=芋澱粉のことである。おおまかな作り方は次の通り。

一、芋を煮てつぶしておく
二、だし汁を作り、具の豚肉を味付けしておく。
三、芋くずを水でこね、さらに芋を加えてねる。
四、三を手の平にのせて切り落とし、お湯でゆがく。
五、二と四をあわせて、いただく。

 読谷で食べられていたものであることが、記してある。
 手のひらにのせて切り落とすところが、いかにもおおらかな沖縄らしい。麺は、形がふぞろいで、かなりの太麺である。食感的には、すいとん、のような感じ。

 


                          んむそばスープ 1998年頃

 

◆芋そばは、沖縄そばのルーツか?
 ウムクジそばは、豚のだしを使っているが、実際に作って食べてみると、正直なところ、どうもあわない。豚骨のコクと、芋の相性がよくないのだ。以前、作っていたときのだしは、鳥ガラと鰹だしである。評判が良かったことから、やはり、こっちのほうが良いかもしれない。
 (閑話休題)

 問題なのは、このウムクジそばがいったいいつの時代の献立であったかということだ。
 本ではそのことについては一つも触れていない。ただ、読谷で食べられていたということだけである。
 もし芋そばが沖縄そばのルーツだとしたら、芋そばは、沖縄そばの原型といわれている中華麺が沖縄に伝わる以前から存在していなければならないことになる。果たして実際はどうだろうか?
 芋、中華麺が沖縄に伝わった時期を調べてみた。

一、中華麺
 600年以上も前に中国から伝わったとされる(400年〜500年前という説もある)。
二、芋(甘藷)
 野国総管によって中国から沖縄に1605年に伝わった、とされる。

 一をそのまま信じれば、沖縄においては中華麺の歴史の方が、芋の伝来より古いことになる。従って、芋の伝来の後にうまれたと思われる芋そばは、現在の沖縄そばのルーツではない。現在の沖縄そばは、あくまでも、中華麺として中国から伝わった、と考えられる。
 では、芋そばは、中華麺が沖縄に伝わった後、これのお芋版として生まれたのだろうか?

 

◆真の沖縄そば
 芋そばを作るための手順として、まず澱粉の精製がある。
 これはかなり手の込んだ作業で、歴史的背景があり、芋そばを作るために生み出されたものではないのは明らかである。沖縄ではソテツなどから澱粉を精製する作業が古くから行なわれていたと思われ、これがそのまま芋に応用されたとするのが自然だ。沖縄には田芋、くずうこん、里芋などが古くから栽培されていることから、芋そばの原型はこれらを使った料理にあるのではないか、という気がしてくる。そうすると、中華麺が伝わる以前に、沖縄には沖縄独自の『沖縄そば』があった可能性が出てくることになる。

※あくまでも素人の勝手な推測、思いこみです。ご了承ください。

 

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