日本は世界でも有数の珈琲消費国であるが、驚いたことに、独自の珈琲文化というものが存在していない。抽出法一つとっても、エスプレッソ、ドリップ、サイフォンとすべて欧米からの輸入ものである。
沖縄式トロ珈琲は、日本で初めて生まれた独自の珈琲文化である。その基本はもちろん、ユニークでやさしさあふれる「沖縄文化」だ。その特徴は次の通り。
一、シンプルな器具
エスプレッソに代表される欧米式は、機械や専用器具を必要とする。ところが、沖縄式珈琲に必要なものは「お玉」と「甕(かめ)」だけである。
二、自然にやさしい抽出法
現在主流となっているエスプレッソ式は、蒸気の力で強制的に珈琲を抽出するといった、パワーに依存したきわめて暴力的(?)な抽出法である。自然を征服し、コントロールしようとする、西欧文化そのものといえよう。一方、沖縄式は、甕の中に珈琲(粉)と水を入れ、アク抜きをしながら一晩漬け込み、上澄みをすくう、たったそれだけである。力づくではなく、自然の力を利用し、自然にすべてをゆだねて作る。これ以上ないといっていい、やさしさあふれる抽出法だ。これは、自然を征服せず、むしろ自然そのものであろうとする沖縄文化の本質をそのまま生かしたものといえるだろう。
三、癒し
沖縄式トロ珈琲は、珈琲を漬け込むとき、様々な原料を加えることができる。ハーブ、大豆、酒、エトセトラ。思い思いの材料を加え、一晩寝かし、上澄みをすくう。健康に良い材料を使うことによって、体が癒やされ、また、水出しという作り方によって味わいもきわめてソフトになり、心までもがいやされる。
沖縄式トロ珈琲。
日本ではじめて生まれた珈琲文化として、あなたは認めてくれるだろうか?