泡盛焙煎珈琲は、『一口飲めば沖縄気分』、『沖縄の味と香り』をテーマにして作られました。素朴でありながら個性的。心がくつろぐ香りと味……。泡盛焙煎珈琲は、沖縄ならではの珈琲です。

1.なぜ泡盛焙煎珈琲か
 泡盛焙煎珈琲というのは、一言でいえば、珈琲豆を焙煎する際、泡盛を加えて加工した珈琲のことである。わかりやすくいえば、フライパンで珈琲生豆を焼き、焼き上がり直前に泡盛を振りかけ、フタをして蒸し上げる……こんな感じで作られた珈琲のことだ。もちろん実際にはフライパンではなく、専用の大きな焙煎機を使っているのであるが。

 そんな、泡盛焙煎珈琲というのを作っていると、
 「どうして珈琲に泡盛をかけるんですか?」
 と怪訝な顔でよくきかれる。
 そのとき私はいつも逆にこうききかえす。
 「あなたはどうしてかけないんですか?」

 そう。
 どうして、みんな珈琲に泡盛をかけないのだろう。私は逆に不思議でならない。
 珈琲も、泡盛もうまい。
 両方あわせたら、余計おいしくなるのは目に見えている。
 なぜ、泡盛をかけないのか?
 私には理解できない。

 

2.沖縄の味と香り
 「どうして泡盛なんですか?」
 ということもよくきかれたりする。
 「沖縄だから」
 私は答える。そう。沖縄だから泡盛をかける。
 ごく当たり前のことだ。
 どうして、沖縄の人間が焼酎をかけるのだろう?
 アメリカにやられた沖縄の人間がどうしてウィスキーなどかけられるのか?

 しかし、そういいつつ、実はこっそりと焼酎珈琲とか、バーボン珈琲、ブランデー珈琲などというのも作っている。
 要するに、アルコールをかけると珈琲はおいしくなるのである。
 泡盛をかけた珈琲だけがおいしくなる、というのではない。
 それぞれ酒に特徴があるように、それぞれ特徴があって、うまい。
 では、いったいどんなふうにおいしくなるのか。

 豆によってやや異なるが、泡盛焙煎珈琲の一般的特徴。
 素朴でありながら豊かなコク。
 ほのかな甘味。
 この二点である。
 科学的に分析したわけではないが、おそらく、高温の珈琲豆に泡盛をかけることによって、珈琲豆の成分とアルコールがなんらかの化学反応を起こして、味わいが変化するのだろう。
 泡盛をかけないときの珈琲と、かけたときの珈琲。明らかな味の変化が見られる。
 特に飲んだ後、口の中にただよってくるほのかな甘味は、個人的に非常に好ましく思っている。
 素朴でありながら豊かなコク。苦さのなかのほのかな甘み……。
 沖縄の味と香り、というキャッチコピーは、それほど誇張ではないと思う。たぶん。
 ここで一句。

 ちゅ口ぬまば
 いちまでぃん忘っしらいん ちゅら島ぬ味とぅ香り
 (一口飲めば いつまでも忘れられない  美しき島の味と香り) 

3.はじまり
 泡盛焙煎珈琲のヒントは沖縄ソバである。
 骨の髄まで珈琲好きの私は、学生時代からフライパンを使って自分が飲む豆を焙煎していたのであるが、安物の豆しか買えないので、味がいつもいま一つ。どうやったらおいしく焼けるだろう、そんなことをいつも考えていた。
 あれは、農連市場の食堂でのできごとだった。
 汚いカウンターに座って、沖縄ソバにクースーをかけていたときのことである。
 ご承知だと思うが、クースーというのは、泡盛と唐辛子を小瓶につめた沖縄独特の調味料のことだ。私はこのクースーが好きで、ソバだろうが野菜チャンプルだろうが、とにかくかけまくる。
 そのクースーをかけながら、不意に焙煎中の珈琲にもかけてみたくなったのである。
 これを、おかしいといえば、確かにおかしい。突飛だといえば、確かに突飛だ。しかし、とにかくかけてみたくなったのである。
 そしてかけた。
 まずい。
 唐辛子の辛みが強烈すぎた。
 泡盛だけにした。
 かけた。
 うまい。
 そういうわけで、泡盛焙煎珈琲が誕生したのである。

4.泡盛焙煎珈琲は酔っぱらうか
 「泡盛焙煎珈琲って、飲むと酔っぱらわない?」
 こんなこともよくきかれる。
 泡盛をかけるわけだから、酔っぱらうのではないか、と思うのは当然の話だ。
 しかし、泡盛焙煎珈琲は、高温状態で加工を行っているので、アルコール分は珈琲豆と結合し風味を高めた後、一瞬のうちに蒸発してしまう。従って、アルコール分はほとんど残留しておらず、酔っぱらうということは、まずありえない。
 しかし、何十杯も一気に飲めば、どうなるかはわからない。
 もっとも、酔っぱらう前に胃を壊してしまうだろう。

つづく

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